2012 - Today
2018年8月某日
東京郊外の自然豊かな住宅地に、2012年完成のH邸はあります。
なだらかな坂を上がっていくと角地に建つ、他の家とは少し違った佇まいの木の家。
純日本風のはずなのに、なんだか外国の家のようにも見える。外壁は綺麗な薄いグレー。この外壁のニュアンスグレーの色と、木でできた軒先、お庭に広がる自然の緑が外国の家の雰囲気を感じさせているようです。
正面から見ると、2階部分に高さがあり、個性を持った木の家。この家の中と、住んでいる方にとても興味がわいてきます。この家でどんな生活を送っているのか、ほんの少しのぞかせていただきました。
木の家と自然
生活スタイルと馴染む家
広い間口をとった玄関を通り、リビングにお邪魔してまず感じるのは、家の中と窓の外との一体感。
窓の大きさと外に見える緑のバランスはもちろんですが、家の中の生活自体と外の自然とが、とても馴染んでいる印象を受けます。
お伺いしたのはまだ残暑のつらい日でしたが、家の中は涼しげで、一年間を通して四季の表情を心地良く体感できる家に違いないと思いました。
芸術家であるご夫婦と、そのセンスを受け継いだお嬢さん2人。4人家族の生活スタイルは、この木の家とぴったり呼吸が合っています。
こだわりの家具と建具
お庭の栗の木から、採れたてのおもてなし
お嬢さんたちの成長と共に、いい色に変化しそうな木や床、一枚板の大きなテーブル。3人一緒に広いキッチンに立って食事の用意をしたりする楽しそうな未来が、今から目に浮かんでくる、微笑ましい空間です。ここで夕食の準備をしながら、今日1日の出来事や最近の悩みなどをお話するのでしょうね。
リビング中央にあるとても大きな一枚板のテーブルは、自慢の軒と並んでH邸のもう1つのアイコン。何年もかけてでてきた味のある木目は、大きな窓の外の光を受けて、陰影を映し出します。このテーブルは、ご主人のご親戚が営業されていた旅館の廊下の木を運んできて使っているそうです。こうした家族に添ったストーリーも、この家の雰囲気の背景に存在します。
アートが最初にお客様をお出迎え
INTERVIEW
まずはネットで検索しました。特に自分たちが家のことについて勉強はしませんでした。そういうことはプロにお任せしたほうが良いと思ったので。
奥様 「木の家が高いと思っていませんか?」というキャッチフレーズに惹かれました。それと棟梁の人柄がとても良かったので決めました。特に他の工務店にしようとは思いませんでした。本当にアットホームな感じが良いところでした。
(ご主人は他社も検討をと考えたようですが、奥様がピンときて決定したそうです。笑)
ご主人 かなり長いこと土地探しはしていました。時には、水道が引けない土地なども見に行ったりしたこともありましたよ。この土地は、近くの他の土地を見にきていた時にたまたまグルっと車でまわっていたら立看板があり、たどり着いたところがココでした。
(ご主人が棟梁にこの土地は大丈夫か色々と相談していたようです。最終的にはご主人が、この土地・この場所に建てることを決定しました。)
ご主人 間取りはほぼリクエスト通りの設計です!2階に仕事場のアトリエをリクエスト。独特な仕事なので、なぜそれだけの広さ・高さの空間が必要なのかを知ってもらうために、仕事場まで見に来てもらって体験してもらいました。
奥様 1階リビング外の軒を付けること!ここは絶対でした。
ご主人 生活する上でとても楽な間取りで暮らしやすい。単純設計、単純間取りが自分達の思いと設計案が合致しました。2案出してもらったのですが、シンプルで凝っていないほうが我が家の生活にはぴったりでした。
奥様 私が家具の配置換えが好きなので、造作家具などは特に作らず、シンプルな設計にしてもらって正解です。
ご主人 1Fに軒を付けるということで予算オーバーとなり(笑)、当初計画していた床暖房をなくしたり、内装の壁は塗り壁を中心としながら、塗らない所は木の素材を活かしてシナ材を使用したりして、工夫しました。また、仕事で使うアトリエのある2Fから荷物の上げ下ろしを行うのに、外階段を設置。棟梁に色々なアイデアをもらいました。
リビングの外側に軒を作った点。雨の日でも軒の下に出て、のんびり外を眺められるのは贅沢を感じます。また、軒があるため、夏場でも涼しく過ごせます。
2Fアトリエの天井高が、約4メートル20〜30センチと一般住宅ではあり得ない高さ。天井に取り付けてある照明器具の蛍光灯が切れないか心配。もし切れたら全てLED化を検討中です。
なんといっても、庭に栗の木があり、食べられる!
常に、ゆったり感を感じられます。
ウッドデッキを一度塗ったぐらいでそれほど手を入れていません。
(建てる前にご主人は現在のテイストとは全く違う洋風な家にしたいと言っていたことがあったとか。)
地鎮祭の時に神主様にお金をお渡しするタイミングを外したことです。笑。
(当日はみなさんバタバタして気持ちもふわふわするので、そういうこともあるようです。)
GALLERY
ギャラリー
LAYOUT
間取り
1F リビングダイニング・キッチン・寝室・他水回り
2F お子様の部屋・仕事部屋(アトリエ)
3F 納戸
棟梁の妻 久保田美佐子さんより
クボタ住建としては思入れのあるH邸。特にH邸の特徴でもある大きな軒は、その後のお客様にも好評で、同じようにしたいという声を多くいただきす。また、この建物は棟梁自らの設計という貴重な建物で、建設当時はまた小さかったお嬢さんたちとの多くのふれあいが今でも大切な思い出です。
久保田美佐子さんのブログ
「棟梁のお家訪問」come on a my house!神奈川クボタ住建整理収納アドバイザーの妻が綴る現場と暮らしのブログはこちらから
編集後記
こちらのH邸は、クボタ住建の木の家とご家族の生活スタイルが合わさり、どちらの良さもわかりやすく引き立つ家になっていました。家は人生の大きなお買い物と言いますが、住む家族の生活スタイルに合った機能的なもので、さらに好きな素材感や雰囲気を表現できるものでありたい。芸術家のご夫婦だけに、その部分の良さがたくさん目に見えたお宅でした。
奥様ご希望の、雨もしのげて涼しさを増す軒。ご主人ご希望の、2階部分の天井高4m超のアトリエ。そのために設計された、大きなキャンバスを運ぶための外階段などなど。住む人が住みやすく、使いやすい家作りは、施主さんとクボタ住建とのコミニュケーションでできあがった作品とも言えます。
少しの間ですが、ご家族と接しお家の中を拝見して感じたことは、木の家と家族がここで一緒に育まれていくのだなということ。家族と一緒に木も育っていくのだなということ。家の柱に刻まれていくお子さんの身長のラインのように。木の家で暮らすということは、経年の味わいを含んだ未来が楽しめるということなのですね。