よしざわです。
「広縁のある和の家」
お施主様の要望で当初からポーチは「洗い出し」に。
洗い出し仕上げとは、セメントモルタルに砂利や玉石など骨材を入れて塗り、固まる前に表面を洗って、砂利や玉石の頭部分を露出させる工法。
その名の通り、洗い出して仕上げる方法である事から古くから行われている伝統的な左官仕上げです。
近年では洗い出しをできる職人さんが減っているので大変珍しいです。

前回ブログのモルタルの角出しから。
綺麗にモルタルで角が出てますね。準備万端という感じでしょうか。
待ちに待ったこの日。
なんせ「本当の洗い出し」を見るのは吉澤はじめて。
本当の。というのは最近では「洗い出しネット」が流通しているので扱いやすいネットの施工が増えているからです。

こんな感じによく見るとネットに石がついてます。
今回は洗い出しネットではなく、本当の洗い出しが見れるとの事で、朝からへばりついてスタンバイ。
はじめて見学します。
わくわく!!!
今は大変貴重な大磯の黒那智石。

めちゃくちゃかっこいいです…
とにかくこの時点で大興奮!!
ゴロンゴロンとモルタルを混ぜながらそこに砂利や玉石などの種石を入れていきます。

とにかく石を入れる。
入れる。
ガラン、ゴロン!音がすごいです。

だいぶもったりしてきましたね。
モルタルがこんなにジャリジャリしているのははじめて見ました。
これが骨材とよばれるもの。

ガランゴロンが凄すぎてたまに勝手に機械が止まるほど。
さぁ、どおなる、固唾を呑んで見守ります。

さぁ、種石がふんだんに入った骨材が混ぜあがったようですよ。

長い棒と道具が登場しました。

使い込んで味の出ている道具たち。
職人さんの息の吹き込まれた道具はそこにあるだけで神々しさがありますね。
拝んでおきます。

さぁ、いよいよ!
はじまりました〜

骨材をコテで塗り広げていきます。
この時、しっかりとモルタルを伏せ込む事がとても大切だそうです。

お〜あの木の棒は端と端の高さを合わせるための道具だったようです。

おっとー!
ここで那智石を等間隔に置いていきます。

そしてすかさずコテで抑えて埋める。

どこに置いたかわからなくなるくらいまで埋めましたよ。

程よい塩梅で並べ埋められていく様を見ていて思ったのはとにかく早い、迷いがない。
鮮やかにそして淡々と進む作業。
それもそのはず。洗い出しは時間との戦いなのです。
硬化する前に洗い出すので手早い作業が必要です。

立ち上がりに付着したモルタルをハケで綺麗に落としておきます。
こうした細やかな作業が後の仕事を楽にするんですよね。
さぁさぁ、この按配で着々と進んでいきます。


塗り込み完了しました。

ここからは「洗い出すタイミング」が問われます。
水で流しながら表面のモルタルだけを洗い出すのです。
少しだけ硬化してきましたね。

いや、
まだか、むむぅ…

ん?
なにかさっきと変わりました、石が浮かんできたように見えます。
硬化してモルタルがしまったんでしょうか。

だいぶ乾いて見えます。
…まだなのか…
むむぅ……
地の種石が動かない程度に硬化しつつ、
けれど表面のモルタルは洗い流すというタイミング。
まだか。
まだなのか。。
待ちます。

「今」というタイミングを待ちます。

洗い出し、はじまりました!

最初は階段部分をハケで少しずつ様子を見ながら

さすがです。
ちょうど良い頃合いだったようです。

うっとり。綺麗ですね。

全体を洗い出していきます。

どの職人さんも現場は夏暑い/冬寒いのできつい辛い仕事なのは皆同じ。
けれど中でも左官屋さんはやはり水を扱うので特に大変です。

伝統的な工法の洗い出しは親方から弟子へ受け継がれるもの。
何年もかけて身につけて、その腕に染み入るように自分のものにしたであろう技。

泥や土に塗れたこうした工程を重ね、うつくしい仕上がりが叶います。
尊いなぁとしみじみ。
照れくさそうに^^けれど嫌な顔せず見学させてくださった左官屋さん、長い時間見せてくださりありがとうございました。勉強になりました。
後日。

乾くとモルタル部が白っぽくなりまた違った表情に。

洗い出しは混ぜ込む骨材の種類で和のテイストを感じられる上品な趣と情緒溢れる景観を作れます。
また、洗い出しの意匠性の高さはさる事ながら機能性も兼ね備えています。
表面を洗い出して骨材の頭部分だけを露出させるため、凹凸のある仕上げとなります。
フラットな仕上げの場合、雨が降ると靴と床面の間に雨水が入り込んで滑りやすくなりますが、凹凸のある仕上げは滑り止めとして大変効果的なのです。
今日のブログ、とんでもなく長くなりました〜^^
まだまだ現場は続きます!
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