10年ほど前から歌舞伎を見るようになりました。
そもそもは亡き勘三郎さんが浅草でやっていた中村座を義母に見せたくて行ったことがきっかけでした。
それはそれはとても素晴らしく楽しませてもらいました。
役者さんたちにすっかり魅了されてそれ以来見る機会が増えました。

私の場合は演目というより役者さんそのものを見に行ってる気がします。
それぞれの役者さんが舞台という場所で演じる一挙手一投足にそこで何が起きてもやりきれなければならないという覚悟のようなものを私のようなものにまで感じます。
何を見に行ってるかというとその演技をするまでの鍛錬はいかばかりか・
人が鍛錬した結果の見事な所作や声や立ち居振る舞い・・すべてが芸術。
歌舞伎の場合の所作は伝統の型があり動きが少なければ少ないほど体幹がそなわっていないと形にならないんだと思います。
数十キロの衣装を着て何気なく立っているだけでも想像を超えたこと。
それを目の前で見ることができる・・若い役者さんから国宝の方まで同じ舞台に立ちそこが真剣勝負の場所。
歌舞伎には欠かせない三味線や長唄・清元等々生演奏?!は本当に迫力がありその音が体に響き何とも言えずどっぷり浸ってしまいます。
観客の目が一点に集中する場面も大勢の中のひとりという配役の役者さんもみな平等にすべてが露わに見えます。
前列斜めの席になると黒子さんの無駄のない動きや姿勢などまで見ることができて歌舞伎の魅力が増すばかり。
以前花道の最前列後ろ側の席の時に花道に立つ高齢の役者さんの履いた草履の足が震えていました。
しなやかな演技の足元は踏ん張り見事に身体を支えていました。
そこにすべてをかけていることを目の当たりにする歌舞伎。
古くから伝わる美しい所作や形。
そこまでになるためにはどれほどの鍛錬と努力があったかと思うと本当に素晴らしいなあといつも感動し勇気つけられエネルギーまでもらえてついついまた見たくなります。
そして先日は仁左衛門さんの菅原手習鑑を花道傍で観劇し、見上げた仁左衛門さんの頬にスーッと一筋の涙を見て震えました。
もう役になり切っている境地のような命をかけてこの舞台を務めているんだなと静かな佇まいとは真逆の精神までをも見た思いがして感動しかありませんでした。
卓越した演技で国宝でもある方がこの場で誠心すべてを込めて役を演じている・・
その仁左衛門さんが昨日の舞台で足元から崩れられたと知り極限まで挑戦される舞台への気持ちをあらためて感じまたまた感動。
白鳳さんも福助さんも不自由なお身体でも今も堂々と舞台に出ておられ生涯に渡り役者であり続ける存在感は本当に見事です。
ご自分の極限まで舞台に立つ・・それが伝統を繋いでいく世界の厳しさでもあり素晴らしさでもあるんですね。
右近さんは歌舞伎役者と清元の二刀流!
そして女形も立役もどちらも完璧。
先日初めて右近さんの清元を聞きこれまた感動!
声が素晴らしかった!
個人的にはある時から猿之助さんのずば抜けて秀でた演技にも魅了されていました。
ですから今はそれを見ることができなくなり本当に残念です。
舞台からいなくなるということはあの鍛錬した演技まで見れなくなるということ。
常という言葉はありません。
その瞬間に目の前で見ることができる歌舞伎を心から楽しみたいと思います。
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